ご挨拶

病理診断が気になるあなたへ

皆さんこんにちは。ようこそ北海道大学病院病理診断科のホームページへ。訪ねていただきありがとうございます。皆さんは病理医・病理診断にどのようなイメージをお持ちでしょうか。顕微鏡で組織を観察して病気の診断を行う専門の医師、と認識されている方も多いのではないでしょうか。病理医はミクロの世界の診断の達人ですが、チーム医療の一員です。内視鏡医が悩む病変、外科医が切除した組織の正確な診断を行い、病理診断は治療法の道標となります。

病理医は顕微鏡をのぞく前に患者さん一人一人の経過や病態に向き合い、医学知識を総動員して診断を決定します。その際にはコメディカルスタッフが作製した免疫染色を駆使して、時には遺伝子解析を実施して診断を確定します。組織の所見を1つ1つ読み解くことで、臨床医が思いもよらなかった診断にたどり着くこともあります。その結果、治療法がわかり患者さんが治癒するわけです。臨床医から「病理の先生のおかげでこの治療に踏み込めました!」と言われることは大きな喜びです。

病理には一方で研究の側面もあります。病理学は「やまいのことわりを学ぶ」学問で、とても幅広い分野をカバーします。病理学の研究もとても興味深いものです。がん、感染症、神経系、免疫系など個別の臓器の疾患、全身性の疾患など、正確に診断を行い治療法に結びつけるのが病理学研究です。新型コロナウイルスが発生した際も、モデルハムスターでの病理解析が大きな社会還元となりました。現在は次世代シーケンサーが発達して、シングルセル解析、空間トランスクリプトーム解析など様々なツールの開発が凌ぎを削っており、AI研究、異分野融合研究が進む今日、その中心に病理・病態を熟知した病理医の存在は欠かせません。

病院や医学部の中でも病理は要の存在です。北大病院病理診断科では、北大医学部の統合病理学教室、腫瘍病理学教室とも密接に連携して、病理診断、病理解剖、病理学研究が進められています。診断に興味があれば病理診断科で腕を磨き、研究に興味が湧けば学部の研究室の門はいつでも開いています。

北大病院病理診断科は、やる気のある若手を歓迎しています。少しでも病理診断が気になる方、是非一度病理診断科にお立ち寄りください。一緒に医学の醍醐味を味わいましょう。

令和6年4月

病理部長・病理診断科長

教授 田中 伸哉

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